無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした

「ただいまー」

お帰りー。とこっちを見ずに言ってくる友人達の所へ戻り持っていたノートをバッグの中に入れようとしたら、目敏くその動作を見ていたさっきはいなかったはずの高校からの悪友である今野亮太(こんの りょうた)が訝しげな顔をした。

「あれ?朝陽、そのノートいつも使ってるやつと違くないか?」

「ああ、これは予備。
いつもの忘れたからさー」

「お前が?珍しいな?」

何か怪しむような視線に勝ち気な笑みを向けると亮太はちらっと真未の方を見て、まあ、別にいいけど。と視線を友人達の方へ戻した。
触らぬ神に祟りなしと言った様子の亮太に朝陽は笑みを深める。

「なあ、朝陽。
このゲーム難しいんだけどクリア出来る?」

「んー?どれ?」

渡されたゲーム機を手に取って操作しているのを周りの友人が取り囲んで見ている。
講義が始まるギリギリの時間にクリアすると、友人達と歓声を上げてハイタッチしていった。