「……俺、岩沢さんが朝陽を選んでくれてよかったって、何でか本気でそう思った」

「うん、そうならなかったら大変なことになってた気がする……」

そう亮太と大輔が言って真未の方に視線を向けてきたが、その視線には祝福している様子は一切見られず、何故か憐れみの眼差しを向けられているように感じた。

私も今、朝陽を選んでよかったと思っ……いや、よかったのだろうか……?

と顔をひきつらせながら自問自答していると朝陽がいつもの笑顔に戻って手招きしているのに気づいて近寄ってみた。

「何?どうしたの?」

「何でもないよ、真未に近くに来てほしかっただけ」

何それ、変なの。と笑うと朝陽も目を細めた。

「真未、プロポーズ受けてくれてありがとう」

「どういたしまして」

「大好きだよ」

恥ずかしげもなくそう言う朝陽にいつもは顔を赤くして怒る真未だけれど、今日だけは一矢報いてやろうと強気に微笑んだ。

「私は朝陽のこと、好きじゃないわ」

「え……」

思いもしなかった態度と言葉に朝陽とまだ近くにいた亮太と大輔は目を見開いて固まり真未を凝視した。
けれど真未は笑顔のまま、私は好きじゃない。と繰り返した。