CDの予約をして来週一緒に買いに来る約束をしてから店先で別れると、後ろでずっと黙っていた亮太が隣に立ち朝陽の肩に腕を置きながら真未の後ろ姿を見つめていた。

「突然店に入ろうって言ってくるから何かと思えば……なるほどな?」

「何が?
俺は初めからCD予約するためにこの店に寄ろうと思ってたら先に岩沢さんがいただけだけど?」

「そういうことにしといてもいいけど、岩沢さんねぇ?
みんな美人すぎて近寄りづらいって言ってる……って、朝陽は美人に見慣れてるか」

その言葉に笑うと、系統が違うけどな。と肩に乗せられていた腕を外させた。

見慣れている方の美人はおどおどしていてどちらかと言えば動きが小動物系だ。
対して真未は堂々として、おどおどすることなどなく自分をしっかり持っている。

「本当、陽菜と真逆のタイプなんだよな……」

「え?何か言ったか?」

「いや、別にー?」

聞き取れなかった言葉に首を傾げる亮太に笑いながら歩き出す。
真未が歩いて行った方とは逆の方向に歩く朝陽の足取りは心なしか軽やかだった。