「ああ、秋村君……何してんの?」

「前からファンだったグループの新曲が来週発売だから予約しに……って、岩沢さん、それ……」

朝陽が真未の持っている二種類のCDを見て目を丸くすると、嬉しそうに顔を上げた。

「もしかして、岩沢さんもこのKaiserのファン?」

「え?そ、そう。
高校の時からのファンで新曲予約しようかと……って、もしかして秋村君も?」

「そうなんだよ!うわー、自分が好きなグループのファンの人と会うってテンション上がるな。
二種類持ってるってことはどっちも買う?それとも迷ってる?」

ずいっと一気に近寄ってきた朝陽に多少どぎまぎしながら、今どっちにしようか迷ってるとこ。となんとか答えると朝陽は深く頷いた。

「わかる、収録曲が違ってくるから悩むよなー。
俺も迷ってるとこ」

「秋村君はやっぱり限定版買う?」

「もちろん!むしろ限定版買わなくてどうするって感じ」

「だよねー、んー、悩むなぁ……」

「あ、じゃあさ、お互い違うの買って後でシェアするのどう?
そしたら二種類とも楽しめるじゃん」

朝陽のその申し出に真未は目を見開くと、それ、すごくいい考え!と二つ返事でOKした。
思いがけず朝陽との接点を見つけて真未は密かに嬉しく感じていた。