「あのね、前に何週間も会わなかったときがあったじゃない?」

「ああ、ストーカーの証拠集めてたときか」

「そう、その時。
付き合い出してからはほとんどずっと朝陽が一緒にいたから会えない間すごく違和感があって、それを杏子に言ったら呆れられちゃってね」

そう言いながら見上げると、朝陽は少しだけ首を傾げて真未を見下ろしていた。
本当に、いつの間にこんなに好きになっていたのだろうと真未は目を細めて体を朝陽に向けた。

「ほんの数週間会えなかっただけで寂しく感じるくらい、朝陽のこと好きになってたみたい」

責任取ってよね?と強気な笑みを浮かべて言うと、朝陽は大きく目を見開いた。

「うわ……ヤバ……」

繋いでいない方の手で口を覆うと、右を見たり左を見たり、空を仰ぎ見たりと忙しい動きをしていた朝陽は暫くしてからそっと口を覆っていた手を離すと満面の笑みを浮かべた。

「真未が寂しがるなんてすごく嬉しいし、好きだって言われたら動悸がヤバい」

「大丈夫、言った私の動悸の方がすごいから」

「抱き締めて確認してもいい?」

「それは駄目」

きっぱりそう言うと朝陽は笑っていた。
けれど、その笑いかたがいつもと違って照れ笑いだったのに気づいて、真未もほんの少し頬を染めた。