無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした

「すご……真未、壊れそうなくらいドキドキしてる」

「っ……!」

気づかれた!と真未は目を見開くとすぐにぎゅっと瞑った。
あまりにも恥ずかしすぎる状況に少しでも顔を見せないように俯かせようとしたら朝陽が真未の頭を押さえた。

「ねえ、聞こえる?」

「な、何……?」

「俺の心臓の音。
俺も真未に負けないくらいドキドキしてる」

言われて、丁度朝陽の心臓の位置に当たるように押さえられた耳に意識を集中してみると、ドキドキと真未と同じくらいの早さで朝陽の心臓も忙しなく動いているのを感じた。

「早い……」

「いつもさ、真未と会ったり話したりしてるときはこれくらい早かったんだよ」

「嘘……だって……」

いつも余裕そうだった。と真未は顔を上げると隙をつくように朝陽はそっと真未に触れるだけのキスをした。

「ポーカーフェイスは得意だからね。
でも、真未にいつバレるかひやひやしてた」

頻繁に抱き締めたりしてたから。と苦笑する朝陽は真未の髪を何度も梳いたりしていて緊張をしているのを紛らわせているようにも思えた。