「あー、お腹いっぱい!もう食べられない!」

「あれだけ食べればお腹も膨れるでしょうね」

あんなに大量のお肉と野菜はどこに入ったのだろうかと、細い杏子の体をまじまじと見てみるがまったくわからない。
何せ朝陽や大輔と同じと言っても過言ではない量を食べていたのだから不思議で仕方なかった。

「この後どうする?」

「あ、私サイクリング行きたいっ!」

「よくあんなに食べて動けるわよね……」

呆れた視線を投げ掛けるも杏子は、たくさん動いて晩ごはんに備えないと!と笑った。
今から晩ごはんのことを考えているなんてと目を丸している間にすでに杏子は大輔とサイクリングに行く準備を始めていた。

「真未達はどうする?」

「私は近くに川があったからそっちに行ってみようかな」

「俺はもちろん真未と一緒にいるよ」

「わかった。
じゃあ、17時にテントの前に集合ね」

また後でねー!と元気に手を振る杏子と大輔に手を振り返すと真未は朝陽を見上げた。

「じゃ、私達も行く?」

「そうだな」

優しく微笑む朝陽と歩き出すと、どちらからともなく手を繋いで歩きだした。
最初のように手を握られたくらいでは恥ずかしくはならなくなったけれど、自分よりも大きい手に包まれているとやはりドキドキはする。

きゅッと少し強めに握るとすぐに気づいて、それよりも少し強めに握り返して笑いかけてくれる朝陽をみて、ああ、好きだなぁ。と微笑んだ。