「ねえ、朝陽」

「んー?ちょっと待って、肉まだ生焼けだから……」

「何で大学変えるほど私のこと好きになったの?」

ガシャンッと山盛りに入った肉と野菜をトレイごと落とす音が響き渡った。
幸い綺麗に拭かれたテーブルの上に落としたため食材は大丈夫そうだけど、その音を聞いて杏子が慌てて飛んできた。

「ちょっと、何してるのよ!」

「いや、だって、真未ちゃんがいきなり……!」

「え、私のせい?」

当然だと言わんばかりの二人の視線に真未は不思議に思っていると、一瞬固まっていた朝陽が苦笑いしていた。

「真未ってそういうのを自分から聞く分には恥ずかしがらないんだな」

「え、真未ちゃんって恥ずかしがったりするの?」

「二人きりの時には結構ね。
これがまためちゃくちゃ可愛かったり……いたっ!」

いらないことを言い出す前に思い切り足を踏むと朝陽は大袈裟に痛がった。
ひどいなー。と笑いながら焼けた肉を取り皿に置いて渡してきてくれるのを受け取ると真未は不満を露にして朝陽を睨み付けるが朝陽は気づいていないふりをしているようで、こっちを見ることはなかった。