「朝陽って陽菜さんに関わってくる人全員にあんな挑発的な態度とってたの?」

バイトが終わり近くで時間を潰していたらしい朝陽と合流して家への道を歩きながら問いかけると、朝陽は少し考えるような仕草をした。

「いや、全員ではなかったな。
一人だけ、姉と結婚した人だけは最初から認めてたから」

「最初から?どうして?」

「前からその人の事を知っていたのもあったけど、絶対結婚するだろうな、してほしいなって俺の願望もあったから」

「陽菜さんに似合うくらい良い人だったってこと?」

「見た目も性格も格好よくて、あの頼りない姉をしっかり支えて護ってくれて、さらに溺愛してくれる人」

朝陽が目をキラキラと輝かせながら話しているのを目を細めて聞いていると、そんな人物を一人だけ思い出してふわりと微笑んだ。

「……なんだか朝陽みたいだね」

「え……」

自然に出たその言葉に朝陽は何故かその場に立ち止まって目を見開く。
あれ?何かおかしな事言ったかしら?と首を傾げていたら徐々に朝陽の顔が赤く染まっていった。

「あ、朝陽!?どうしたの、顔が赤いけど熱!?」

「違……本当に真未は……。
いきなり襲われても文句言えないからな?」

「なっ!?」

今の自分の発言がどういう意味の発言だったのか深く考えずに思った一言を口にしただけだったのだけれど、何故かそれが朝陽の心に響いたらしく、朝陽は珍しく顔を真っ赤にして照れているようだった。