「お邪魔します。」

初めて来てからそれほど時間はたってないけど……

ここが安心できる場所だと認識したようで

すんなり上がってくれる。

「明日は園バスの当番で朝が早いなら
先にお風呂に入っておいで。
荷物整理は、明日帰ってからゆっくりしたらいいよ。
簡単なメニューで夕飯作っとくから。」

彼女用に与えた部屋の外から声をかけると

バタバタと足音をさせて慌てて出てきた。

「ダメ。
マスターが先に入って。
私が夕飯作るから!
こんなにお世話になるんだもん。
家事は全部私がする。」

たぶん、彼女の性格ならそう言うだろうと予想はしていた。

「ちょっとおいで。
一緒に生活するなら、初めにルールを決めておこう。」

彼女がついてきてることを確かめて

さっさとソファーに座る。

「どうぞ。」

隣を勧めて

「今日からここは、俺と咲ちゃんの家。
咲ちゃんは、親戚の叔父さんの家に住むの。
分かった?」

「………………うん。
でも…………それは、他の人への説明のためでしょ?
現実は…………マスターのお家にお世話になって
迷惑だってかけちゃうから…………」

「そんな事思うなら、一緒に生活できないよ。
君は、今日から俺の姪。
甘えていいの。
お手伝いで家事をしてくれるのは、有だけど。
義務ではやらないこと。」

「でも………。」

ブツブツ呟く彼女をムシして

「洗濯は、自分でしてね。
俺が洗ったら嫌でしょう?
後は、二人で一緒にやろう。
一緒に帰って、ご飯を作って食べる。
片付けも一緒。
掃除は、各部屋は自分でしよう。
週末時間がある方が、リビングの掃除は担当する。
それでいいよね。」って。