「持って行かない。」

「えっ?
いいよ。持って来ても。」

「大丈夫。
だって、マスターがいるでしょう。」

「俺は、このぬいぐるみと同類?
だったら、クマかな?うさぎかな?」

冗談で返したが、やっぱりこのぬいぐるみは

寂しさの象徴だったんだ。

「それなら、要るものをカバンに詰めて。
俺、腹が鳴ってる。」

「あぁ!分かった。
ごめんね。」

慌てて服や化粧品、仕事道具をつめる。

女の子の部屋に上がって

これ程切なくなる経験も初めてだ。