「中学の時…………
寂しさに耐えられず………家を出たの。
それからずっとあのマンションで一人で住んでた。
二十歳までは、生活費を送ってもらってたけど…………
使う気になれなくて、アルバイトしたお金で生活していたの。
後は………今と一緒。
家族や咲々には、あれから会ってない。
もちろん、颯兄にも。
それでも、風の噂って……入るものなんだよね。
咲々は……ドナーが見つかって移植して
今では、颯兄のお嫁さんだって。
私がいなくなったら………咲々は幸せになったって……
お父さんが話してたって聞いたら…………
顔を出すことも出来なくて…………。」

もういい。

もう、話さなくて良いから。

咲の話しは……………

怒りや悲しみとも違い……………

聞いてるだけで、苦しくなった。

生まれたことを後悔させるって……。

それも………そう思わせたのが、両親と心を許した幼馴染み。

「よく頑張ったな。」

頭を撫でると

ようやく肩が小刻みに動き始めた。

泣いたらいい。

いっぱい泣いて、心を空っぽにしろ。

その後は…………

楽しく、幸せな言葉と思い出をいっぱい詰めていこう。