「ごちそうさまでした。」

あれ程気の強い彼女が、ささの挑発にのらなくなった。





次の日の朝

喫茶店に顔を出した洋介は、やっぱり面倒事を持ってきた。

「唯ちゃんが、女に襲われた。
親父さんが絡んでるらしい。
幼稚園メンバーに悟られたくないらしくて
圭に頼みたいと言ってきたけど………
咲ちゃんと繋がるとは。」

俺と洋介は、表はパン屋と喫茶店のマスター。

ただ、学生の頃に立ち上げたもう一つの顔が

裏を中心に舞い込んで来る。

探偵というほど、本格的なものではないけど……

昔、ヤンチャしていたことが今に生かされ

困った人の『お助け人』に、なっている。

悠人と知り合いになったのは、ホンの数ヵ月前。

洋介の紹介で飲み仲間になり。

幼稚園の先生という、面白い経歴に興味を持った。

先生達に秘密にしているらしいが

実は、次期後継者らしい。

秘密にしている原因が、やっと手に入れた10才年下の彼女………唯ちゃんに

結婚を申し込む前に、怯えて逃げられない為だと聞いて

益々親近感が持てた。

そんな悠人の悩みは

大切にしている彼女の事。

家が複雑らしく、親父さんの浮気相手が幼稚園の嫌がらせを

している可能性がある。

そう。

咲が家に来るきっかけになった事件だ。