とにかく強引に約束させて、甘えることを教える。

「ヨシ!
だったらお風呂に入っておいで。
出たら食べよう。
今日は、材料がないからパスタね。」

俺に追い立てられて、渋々お風呂に行く。

良い子だけど、頑固なんだよなぁ。

女の子なんだから、素直に甘えたらいいのに……………

出来ないんだろうな。

キッチンに立って作っていると

パスタも茹で上がらないくらい早く出てきた彼女。

どんだけカラスの行水だよ………。

遠慮しての行動かと、眉をしかめていると

「ありがとうございました。
久しぶりにゆっくり入っちゃった。
私のマンションは、物騒だからゆっくり入れなかったから。」って。

あぁ、そう言うこと。

これでも長かったんだ。

筒抜けのベランダを思い出し、帰らせないと誓った。

「じゃあ、髪を乾かしておいで。
もう直ぐ出来るから。」

「だったら手伝います。」

「ダメ。
髪を乾かしておいで!
俺のところに来て風邪を引いたら困るんだから。」

少し考えて………

「そうですよね。
マスターが引いたら、お店を休まないといけない。」と

何とも的外れな考え。

「違うよ。
明日から咲ちゃんが困るって言ったの。
慣れない家で、寝込んだら不安でしょう?
それと、家でマスターは勘弁ね。
せめて、叔父さんにして。
お兄ちゃんとは、言わないからさ。」