「はい、みんなの自己紹介ができた事だし……忘れてるかもしれないけど、1年間、共に生活するグループメイトを発表します。発表されたらその辺に集まって自己紹介でもしといて。」
シーンとなる。みんな誰と一緒になるかドキドキしているはず。
「1年間一緒なの?えー。つまんなっ」
……みんながみんなそうではないみたいね。
橘さんのようにアホっぽい人もいるらしいわ。
「A。秋里さん金城くん阿部さん金井くん
B。神谷さん橘くん冬川さん十葉くん
C。森田くん月見里さん小鳥遊さん和田くん
D。春山さん三橋さん新井くん高橋くん
E。……F。……G。……H。……I。……」
最悪。何かの間違いでは?うちの1年5組は36人、9分の1の確率で橘さんと被ったなんて。
「ユノ〜じゃなかった、殺人鬼〜同じグループ♪
殺人鬼といれば成績良くなりそう」
最低だわ。
「……失望すんな。」
あ、さっきの!だ、誰よ。
「……はじめから聞きたいか?」
別にどちらでも。
「幼稚園…菜の花、バラ、ウグイス……
小学校……1の2、2の4、5の3」
うそ…まさか十葉 海!?
「…俺一応自己紹介したんだけど。」
「してました。女子で狙わない人がいないほどかっこいい声と顔ですね。」
嘘。だってこの無駄なくせっ毛とアホ面?冷たい目で素っ気ない。何から何までクールと言えば聞こえがいいけど、感情がないわ?っていうあなたは冬川さん?
「はい。冬川 雪葉と申します。雪羽旅館の若女将をやっております。背が低いもので、小さいゆきはで、ちゆき、ちゆなどと呼ばれることがしばしばございます。」
ちゆ、ね。よろしく。
「はい。よろしくお願いします。」
「あー。言い忘れてた〜。グループ内で、敬語を使わないこと!」
ん?
「嘘……先生、私は職業柄、敬語を使ってしまうのですが!」
「ま、頑張れ。」
先生もなかなか酷いわね。
「これだから体育の先生は苦手なの。」
お、ちゆちゃんと使えてるじゃない。
「なぁ、俺もさ、あさひでいいんだけど。」
あさひ?偽名?女子?……はぁ?
「あさひはホントの名前だよ!俺は橘あさひっつーの!」
あらそう。
じゃああさひね。
「俺は……」
カイでいいわね。
「私のこともちゆって呼んでいいから。」
なんか面白いわ。
旅館若女将の小さいゆきはに、背が高いくせっ毛無表情のかい、それに女子みたいなかわいらしい顔立ちで、名前が女子のあさひ。
「それに殺人鬼の真面目系代表、ユノ。」
あさひ?ふざけないでちょうだい。
「さーせーん(笑)」
やっぱり私たちには視線が痛いのだった。