気のせいじゃなくて、やっぱりこっちに近づいてきてるよね?
え?何事?

いや待って、こういうのはだいたい横を通り過ぎてこっちが恥ずかしい思いするものなんだからね。
湯本蒼乃、落ち着きなさい。

そうは思っても、道路の反対側にいた美男子は道路を渡り、明らかにわたしの方に近づいてきている。



「え?どちら様っ…………!!」

「遅くなってしまった。」


そして彼はそう言いながら、わたしを抱きしめた。


………………!?!?
え、抱きしめられてる!?!?
見ず知らずの人に?