kazu【なぁ、緋奈乃って紅高通ってる?】

どういうことだ。どうして私が紅高(紅香高校略して紅高)に通っていることを彼が知っているんだ。教えた覚えもない。

緋奈乃【どうして?】
私が返事をしてすぐに彼から返事が来た。
kazu【今日学校で、緋奈乃っぽい声がきこえたんだよ。】
緋奈乃【気のせいじゃないかな?私紅高行ってないよ?】
kazu【そうか、気のせいだったのかな。。。】
話はそこで途切れた。






本当は私も紅高の生徒だ。でも声しか知らない相手に急にそんなこと言われても困惑するに決まっている。だから嘘をついたのだ。
確かに彼は私と同い年だ。でもそんなことってあるのか。一度電話で話しただけで声覚えられるものなのか。
Blue Emotionのボーカル、秋の声だけは一度聴いただけで覚えられたけど他の人の声はほとんど覚えていない。もちろんそれは和樹の声についても同じことが言える。いい声だったことは覚えていてもどんな声でどんな話し方だったかまでは覚えていないのだ。だから私は紅高に通っていることを隠したのだ。
私が彼の顔を知ることができるまでは。







 次の日私は舞奈ちゃんに昨日バイト前にあったことを報告した。
「なにそれ、怖いんだけど、その人怪しい人なんじゃないの?本当に大丈夫?ひな知らない人に声掛けられる率高いんだから気をつけてよ?」
「はーい。舞奈ちゃんは御節介なお姉ちゃんみたいだね」
「御節介は余計だ」
今日はバイトが休みの日だ帰ったら和樹に連絡してみよう。














 私は今他のクラスで気になっている人がいるのだ。名前は《クガ》。いつも一緒にいる人たちがそう呼んでいるのだ。いつもマスクをしていて顔がよく見えない。いつも目が綺麗だな、と思って気になっているのだ。
もちろん声をかけたことはない。













「今日も1日疲れたね。」
「私運動系苦手だから体育無理だわ。」
「舞奈ちゃん勉強は得意だけど運動本当に苦手だよね。」
「本当無理っすわ。それじゃ私こっちだからまた明日ね。じゃね」
「またあしたー」
ひらひらと手を振りながら私たちは別れた。








また明日か。
クガくんと話してみたいな…。