それから、沙羅は直人が運転する車に乗った。



「そういえば、父様。どうして・・・私があの場所に居る事を知っていたんですか?」


沙羅は助手席に乗っていたため、隣で運転している直人の顔を見ながら聞いた。



「ん?式神を飛ばしてたんだよ。俺の式神の龍聖―リュウセイ―をな」


直人はそれだけ言い、アクセルを強く踏んだ。



車を飛ばした為に・・・数十分で土御門の屋敷に着いた。



その屋敷には、最も親しんだ気配がいくつもあった。



沙羅はその事に、唇を歪めた。



「沙羅!置いて行くぞ」



直人にそう言われて、慌てて直人の後を追った。



沙羅が当主の部屋まで案内した。




「ココです」



了承も得ずに障子を開けた。



そう、中には・・・大輝や麗夜たち、紅燐に悠里に秋冷・・・そして元凶の幸也がいた。




「なっ!?何故戻ってきた!沙羅!!」



部屋に入ったのは、沙羅一人。



障子の向こう側で直人たちは待機している。



陰陽師は、気配を探るのをニガテとする・・・



「別に、荷物を取りに着ただけよ?
つーか、折角治したのに、礼もないの?恩をあだ返す、って事?」



フフフと妖しく笑う沙羅に寒気を覚えた紅燐たち。