紅燐は、気を失っている沙羅を連れて土御門の屋敷に行った。


紅燐は沙羅を布団に寝かせ、現当主の所へ向かった。



「で?紅よ。秋冷はどうした?それに沙羅が此処に来るのは珍しいが」


質問攻めにされている紅燐。


現当主―土御門 幸也は和服の似合う結構男前。




「秋冷は・・・ホラ、お見合い相手の癒しの姫とイチャつきながら山を下ってて
沙羅は白蛇を倒す時にどうも『第三十五章』を使ったみてぇだから腹部を深く切ってたし。」



頬をかきながら言う紅燐に、幸也は




「そうか・・・秋冷も俺と似て手が早いな・・・
それで、沙羅の傷の具合はどうなんだ?」



と、呆れているのか分からない表情で紅燐。



「・・・沙羅の具合?結構霊力使ったみてぇ」



顔をしかめる紅燐



「なんて言っても・・・月の巫女ってバレたからなぁ」


「そうか・・・」


重々しく幸也は呟いた後、障子が開いた。



腹部を押さえた沙羅だった。



「沙羅!?」


紅燐が沙羅に近づき手を貸す。



「お久しぶりですね・・・当主」


沙羅は紅燐の手を借りて幸也に話しかけた。



「本当だな。沙羅・・・この家に帰ってくる気はあるか?」


幸也は沙羅に問う。