秋冷の視線は沙羅に行っている。


「沙羅!!それ以上使うな!!負担が大きすぎる!」


秋冷は叫び、沙羅の元へと走っていった。



悠里はそれを悲しそうに見ていた。




沙羅は、黒月の刀身を紅く染めていた。



――自らの血で・・・


腹部から血がまだ、流れ続けている。




「『第三十五章』炎華呪―エンカジュ―!!」



刀を地面にして、詠唱する。



白蛇が真っ赤な炎に包まれて燃やされていく。



白蛇の灰が・・・紅い・・・紅い花びらだった。


炎華呪・・・炎の華で焼き尽くし・・・地の果てに落ちて呪い続ける技。




沙羅は、白蛇を倒したことを確認すると・・・



「終わったー!!!!」



思いっきり、叫んでいた。



「沙羅!!」


そこに秋冷が駆けつける。



「秋冷・・・悠里の側に居てあげてよ?私は・・・後片付けをしないといけないし?
後で、土御門に電話しないといけないし?」



沙羅は秋冷を悠里の所へ行かせると(無理やり行かせたが)



「さてっと。片付けるか


燃えろ

世界に不順するもの

消えろ

灰となって」


この世にいらないものを燃やし終えて・・・沙羅はこの山を下った。誰にも言わずに。