2年7組。
職員室から2年7組までは、ほぼ廊下の端と端。
先生はスタスタ歩いていたけど、意外と遠いなあ、なんて。
教室内で、転校生を紹介するという先生の言葉を聞いた生徒たちがざわめきだす。
一部では、"可愛い女子かな" "イケメン来てほしいー!" "めっちゃキャラ濃い奴来るんじゃね" などと知らぬ間に転校生に対するハードルが上がっていた。
「姫川さん、どうぞ」
先生に促され教室に入ると、騒いでいた生徒たちはとたんに静まり、私の一つ一つの動作を見逃すまいとばかりに強烈な視線を浴びせてくる。
「姫川莉織です、よろしくお願いします」
形式的な自己紹介のあと、頭を下げた私に数秒の間をおいて拍手が送られた。
その拍手に割って入るように、
「姫川?!」
どこか懐かしい声が聞こえた。

