「姫川───」
「私急いでるから」
天津くんが私の名前を呼んでいるのを無視して、生徒会室に入った。
侑架が何か企んでるとか、胡散臭いとか。
侑架の事悪く言うなんて。
天津くんは根はいい人だと思ってた。
怖いのは見た目だけで、中身は凄くいい人なんだって。
それは私の思い違いだったの?
「姫川さん!来てくれてありがとう」
「いえ」
「大丈夫?なんか外で誰かと話してたみたいだったけど」
「大丈夫です、大した話じゃなかったんで」
信じられなかった。
天津くんが言ったこともそうだけど、天津くんがあんなこと言うってこと自体が。
なんだかんだで信頼していた天津くんに裏切られたような気分になって、
なんだかもう教室に帰りたくない。
「なら良かった。じゃあ早速なんだけど、」
やめよう。今は天津くんのことは考えないでおこう。
「はい」
「生徒会に入らない?」
「…え?」

