愛逢月にレモネードを。



生徒会室に到着する直前、後ろからある声に呼び止められた。


「姫川」

「天津くん!どうしたの?」

「…気をつけろよ」

「え?」



気をつけろ、って

なにを?



「あの橘侑架って奴。なんか…胡散臭ぇし」

「…何が?」

「何か企んでるように見える。なんつーか、たまにえげつなく冷たい顔するんだよ」

「…」



侑架が何か企んでるって?

私と絡んでくれてるのも、何か企みがあってのことだとか言いたいの?



「橘がわざわざあのグループから離れてまで1人と仲良くするなんて考えれねぇ。
しかも転校生だ。クラスでの権力なんてほぼない姫川とつるむなんて。」

「だったら何?」

「は?」


拍子抜けした声を出す天津くんを睨みつけて、声を低くして言う。


「確かに私も最初は不思議だったよ。急に仲良くしてきたから。しかも天津くんと私のことでクラスみんながざわついてる時に。
でも侑架はいい子だよ。優しい人。天津くんとは違う」