走って走って、階段を駆け上がって、2年7組の前。


机に突っ伏している"彼"を見つけて、息を呑む。

深呼吸してから、静かに近寄る。



「…姫川?」



顔を上げないまま、彼は気配を感じ見事に的中させてみせた。

反射的に足が止まり、



「そうだよ」



機械的に答えると彼はようやく顔を上げた。



「なにしてんの?帰ったんじゃなかったのかよ」

「…天津くんに聞きたいことがあって」

「なに?」



私の返答に、少し不機嫌そうな声を出した。



「天津くんの、前世って…」



なんて聞けばいいのかわからなくなって言葉をつっかえさせた私の心情を察したのか、


天津くんは小さく息を吐いて観念したように私を隣の席へ誘導した。