「7月7日に降る雨にも名前があってね」
「雨に名前??」
「催涙雨」
聞いたことがある。
詳しいことは知らないけど、それも七夕伝説で語り継がれてる話の1つだったはず。
「織姫と彦星が、年に一度しか会えない七夕に雨が降って天の川が渡れなくなって、会えない寂しさから流す涙を含んだ雨って言われてるんだ」
「へえ…あれ、でも誰かに聞いたんですけど、」
確か雨のせいで天の川が渡れなくなったとき、どこからともなくかささぎの群れがやってきて
二人の架け橋になる、みたいなことを聞いた覚えがあった。
「七夕伝説には色々あるからね。君はどう思う?」
「私は……昔から七夕伝説で思ってることがあって」
「うん」

