「なんだか…切ないですね」
「俺はロマンチックだと思うな」
「ロマンチック?」
どこがロマンチックなんだろう。
だってお互いを想い合っているのに年に一度しか会うことを許されないなんて。
「年に一度しか会えないからこそ、愛は深まると思う。
相手を想うと、頑張ろうって思えるんじゃないかな。
天帝が年に一度会うことを許したのは、織姫と彦星の互いを想う気持ちが薄れないようにって願いもあったって気がするんだ。
人は毎日顔を合わせているとそれが当たり前だと思うようになるからね」
でね!なんてパッとこっちを向いた先輩の顔は、興味津々と言ったような感じ。
「その7月のことをなんていうか知ってる?」
「え?」
「俺が最もロマンチックだなって思う理由」
7月に呼び名なんてあるっけ?
「陰暦7月は、愛逢月と呼ばれてるんだ」
「めであい…づき?」
「そう。愛に巡り逢う月」
ああ、確かにそれはロマンチックだな。

