「怒った天帝が、天の川を隔てて織姫を西に、彦星を東に引き離してしまったんだ。
だけどそのせいで、互いの顔を見ることすら出来なくなった二人は悲しみに暮れてさらに仕事をしなくなって、とうとう帝の服は着れるものでは無くなり、牛も見てられないほど弱々しくなった。」
七夕物語って、ちゃんと知らなかったけど…。
「天帝は困って二人に言ったんだ」
そこまで言って、先輩はちょっと躊躇うような表情を見せて、席を立ち窓に寄りかかった。
「真面目に働くなら、年に一度だけ会うことを許してやる、って」
「それが…7月7日」
そう、と頷いて先輩は言った
「それから二人は懸命に働くようになり、年に一度7月7日だけ、天の川を越えて会うことを許された。」

