愛逢月にレモネードを。


「好きに座って、お茶しかないけどごめんね」

「ありがとうございます」



手前の椅子を引いて座る。

先輩がお茶を出してくれて、前の椅子に腰掛けた。



「姫川さんは織姫と彦星の話は知ってる?」

「いえ、聞いたことあるんですけど詳しくは」

「織姫と彦星ってね、実は夫婦なんだ」

「え?そうなんですか?!」



好き同士なのは知ってたけど、夫婦だったんだ。

あれ?でもならどうして年に一回しか…。



「元々二人はとても働き者だったんだ。
織姫は帝の服を作り、彦星は牛の世話をしてた。

だけど出会ってからは恋に没頭して、仕事をさぼるようになってしまった。
次第に服は古くなっていき、牛も弱っていく」



一口お茶を飲んで、先輩は続ける。