桜の木の下で

「美味しかった~。
坂下さんありがとうございました」

お店を出て、坂下さんと2人で歩いていた。

後ろの席にいた菅田さんは、
私が料理に夢中になっていた時
帰ったらしい。

気づかれなくてよかった~。



「葉月さん…………」
「はい。どうしました?」

どうしたのかな?
急に真剣な顔して。


「俺…………。葉月さんのこと…」

なに?
なにが言いたいの?




「こいつはダメ。俺のだから…」


急に肩を抱かれ、俺のだって!!


何言ってるの?
頭おかしくなった?

ドキドキが止まらないよ。

顔を見なくてもわかる……。
声を聞いただけで
こんなにも切なくなる。


でも、それが本心じゃないことも
知っているから、余計辛くなる…。


私は俯くことしか出来なかった。


「葉月さん、彼と付き合ってるの?」
「……えっ?」

その言葉に反応し、
前にいる坂下さんをみあげた。


わっ、わたし。
動揺しすぎて、坂下さんがいるの忘れてた。