桜の木の下で

アイツの声が聞こえる。

俺は、あまりにもアイツに会いたくて
声まで聞こえるようになったのか?

ちっ、違う。
俺の後ろの席で、楽しそうに話しているのが
アイツだ。

絶対、俺には見せない態度で
男と話している。

はぁ~。
よっぽど俺のことが嫌いなんだなぁ。

ここまでくると、笑える。

彼氏と仲良くやってくれ。
俺は、もうお前のことを諦めるよ。
はぁ~。

って、俺…………。
アイツのこと好きなのか?

いやいやそんなことはない。
俺は、ただ俺のことが嫌いなアイツに
興味があるだけ。

ただそれだけ。
俺は、さくらが好きなんだ。
叶わない恋だが、ずっと思っているのはさくらだけだ。