桜の木の下で

店内に入ると、温かいイタリアの家庭的な内装だった。

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「2名です」
「こちらへどうぞ」

女性店員に案内されて、店内の奥に向かった。

私は、坂下さんの後ろをついて行った。


「こちらの席で宜しいですか?」
「はい」

えっ、えっ、えっ~。
こちらの席は宜しくありません!!

私は心の中で叫んだ。

「どうしたの?」
「なっ、なんでもない」

私は慌てて坂下さんの向かい側に座った。
内心ドキドキだった。

だって、だって私の後ろの席には…………。


菅田さんが綺麗な女性と食事をしていたのだから。
でも菅田さんはこっちを向いていなかったし、
私に気づいてないよね?

はぁ~っ。
何で会うかなぁ…………。


胸の奥がチクッて痛んだ。
彼女できたんだね。


よかったよ。
佐藤先輩を諦めて、前に進めたのだから。
その相手が私じゃないのは悲しいけど…………。


わっ、私、何考えてるの?
自分でさよならしたんじゃない。
私のバカっ。
こうなることはわかっていたことじゃん。
菅田さんは、モテるんだから。
自分の気持ちも伝えないで諦めたんだから。
何も言えないんだよ。


「…………葉月さん、どうかした?」
「えっ?…………なんでもないですよ」
「本当に?具合悪いとか?」
「大丈夫ですよ。早く注文しましょ?」
「…………そうだね。」

私達はメニューをみた、