桜の木の下で

あれ?あそこにあるのは……。
片づけをしている時、見つけたスマホ。
誰か忘れていったのかな?
大事なものだから、その人が気づいたら
取りに来るかもしれない。
片づけ中に来てくれたらいいのになぁ。

「あっ、」
「おーっと、大丈夫か?」

ボーッとしてたら、椅子に足を引っ掛けて
転びそうになってしまった。

「あっ、ありがとう」
「怪我しなかった?」

坂下さんに支えられて転ばなかった。

私は転びそうになったことが恥ずかしかった。
何でこうなるの?
本当に恥ずかしい。

「坂下さんに助けてもらったから
怪我はしてないよ」

もう……。
私、顔真っ赤だよね。

「…………」

あれ?
坂下さん、何も言わなくなっちゃった。
やっぱり、どんくさい奴とか思ったのかな?