桜の木の下で

「さくら……」
「紀輝……」

???
あっ、そういえば佐藤先輩の名前、さくらだった。

「紀輝、この子が後輩の葉月ちゃん」
「初めまして。佐藤先輩の後輩の葉月 陽夏です」

彼氏さんに挨拶をした。

「初めまして。さくらの彼氏の近藤 紀輝です」

背が高く、綺麗な顔立ち。
スーツ姿の彼氏は、仕事が出来る男性という感じだ。

「さくら、大丈夫か?」

優しく話しかける。
佐藤先輩は愛されてるんだなぁ。

「大丈夫だよ。紀輝も飲む?」
「俺は車だから。それに稜(りょう)と話してたし」
「稜もいるの?」
「……あぁ。稜、何してるの?早く来いよ」

そこには……。

「……あぁ。トイレ行ってた」

うそっ。

「コイツ、菅田 稜(かんだ りょう)。さくらと俺と稜は高校の同級生なんだ」
「そうなんですか……」
「稜、この子は葉月 陽夏さん。さくらの会社の後輩なんだ」

私は菅田を見ることができなかった。

「初めまして。葉月 陽夏です」
「どうも……」
「ごめんね。コイツ、人見知りだから。気を悪くしないでね」

冷たい視線。

「もう、帰るんだろ?」

菅田さんは、早く帰りたいようだ。

「あぁ……。さくら帰るぞ」
「まだ良いじゃない?4人で飲もうよ」
「ダメだ。もうだいぶ飲んだだろ」

彼氏さんが、さくらさんの腕を掴んだ。

「は~い」

素直に言うことをきく佐藤先輩。
可愛い。

それを見ている菅田さんは、どこか悲しそうだった。