4月。

桜の木は満開だ。

今日は、さくらさんの結婚式だった。
佐藤先輩と呼んだら
今日から近藤さくらだから
と、照れながら言っていた。

本当に綺麗だった。

だからこれからは、さくらさんと紀輝さんと
呼ぶことになった。

結婚式が終わり、
私はあの桜の木の下で
満開の桜を見上げていた。
風が吹き、花びらが舞う。
それがあまりにも綺麗で見惚れてしまう。

「さくらさん綺麗だったなぁ」
「そうだなぁ。
2人とも幸せになって良かったなぁ」

私の隣で、稜が桜の木を見上げてる。

この桜の木の下で、
稜に恋をし、
稜を諦め、
今は、稜と2人でここにいる。

不思議だなぁ。

この桜の木は2人の思いを
ずっと見ていてくれた。

これからも2人をずっと見守っていて欲しい。
そう願った……。


「今度は俺たちの番だな」
「えっ?」

私は、稜の顔を見た。
稜は、私を見つめた。

「陽夏、結婚しよう」
「……私でいいの?」
「陽夏じゃなきゃダメなの」

稜は私を抱きしめた。

「私も稜じゃなきゃダメ」
「陽夏…」
「稜、お願いします」
「あぁ。幸せになろう」
「うん」

2人は、見つめ合い、
桜の木の下で
誓いのキスをした。