桜の木の下で

それから1時間くらい飲んだ。
仕事の話、恋愛の話。

佐藤先輩は、2年前から付き合っている彼がいる。
高校から友達だった自分から告白して付き合ったらしい。その話をする佐藤先輩は、かわいい笑顔を魅せながら照れたように話した。

｢彼氏さんのこと、大好きなんですね｣
｢うん。大好き。高校の時から好きだったの。やっと彼氏になったんだもん。嬉しいよ｣

顔を赤くして俯く。
普段はサバサバした佐藤先輩。
でも今は恋する乙女だ。

｢そんな顔みたら、彼氏さんがほっとかないですね｣
｢そ、そんなことないよ｣
｢羨ましなぁ｣
｢葉月さんは？彼氏さんとか好きな人は？｣
｢わっ、私は……｣
｢うん。いるの？｣

目を輝かせている佐藤先輩。
私は……。
思い浮かぶのはあの悲しそうな顔をした男性だった。