桜の木の下で

私は、菅田さんの前を通り過ぎようとした。

「待て……」
「???」

私、今……腕を掴まれてる?

「お前って……」
「なっ、何ですか?」

菅田さん。かっ、顔が近いんですけど。
振り向いたときに、引っ張られたから
菅田さんとの距離が近すぎる。

ドキドキが止まらない。
平常心を保てないよ。

「好きな人いたの?」
「かっ、菅田さんには関係ないです」
「……そうだよな。嫌いな奴に話したくないよな」

悲しそうな顔をする菅田さん。

「菅田さんのほうこそ、嫌いな人の話なんて聞きたくないでしょ?」
「はぁ?俺……お前のこと嫌いだなんて言ったか?」
「言わなくたって態度に出てますから」
「……確かにお前に対して冷たかったかも?」
「ほっ、ほらね。やっぱり嫌いなんですよ」
「……俺は」

何か言いたそうにしている菅田さんを
見ているのが辛かった。

「離してください。
菅田さんの好きな人は知ってますし、
その人にだけ優しくすればいいんです」

私、何言ってるんだろう?
これじゃ、嫉妬してるみたいじゃん。