桜の木の下で

「ちゃんと告白したの?」
「……してないです」

出来るわけないじゃん。
菅田さんが好きなのは、佐藤先輩なのに。

「私、その人の好きな人……
知っているんです。だから……」

言葉がつまってしまった。
言ってて泣きそうになってしまった。

「……告白できないと」

佐藤先輩は、そう言ってビールを飲んだ。

「……はい。できないです。
迷惑かけたくないので……」
「なんで迷惑なの?」
「私、その人の好きな人を知っていて、
私が知っていること、
その人はわかっているんです。
それなのに、私なんかが告白したら
絶対に迷惑です」

私は途中から俯いてしまった。