「渡曾くん、一番速いしアンカーお願いできるかな?」 何度目かの練習のあと一緒に組む3年生の先輩からそういわれた。 「え、でも、俺なんかでいいんですか?」 「一番速い人がアンカーがいいからね。頼んだよ」 「はい、がんばります!」 俄然やる気がわいてきた。 こんなに勝ちたい、頑張りたいって気持ちが湧いてくるのは3年ぶりだ。 絶対に優勝したい。 それは先輩たちのためでもあったし、自分のためでもあった。