翼side

「にいちゃん?」

「ん?」

弟の翔太が話しかけてきた
翔太は入院中
一見元気そうなんだけどな

「あのね、すっごいうたがうまいおねえちゃんがいるんだよ」

「そうなんだ」

「にいちゃん、おねえちゃんのとこ、いこ?」

「え?」

ちょっと待てよ。その『おねえちゃん』だって元気じゃないんだろ?
それって会いに行ってもいいものか?

「おねえちゃんはね、いいっていってたよ!」

翔太にそんなキラキラな笑顔で言われたらダメとは言えないし...
まあ、ちょっと行ってすぐ帰ればいいか

「わかった。でも、具合悪くなったら言えよ?」

「うん!」

あーあ、俺はとことん翔太に甘い...

夏がもうすぐそこまで近づいた7月、
そうして俺は陽菜に会った