怒鳴り声を上げたのは、海だった。
海は凄い形相で凛の頬を叩いた。
凛は、叩かれた頬を押さえ叩かれた事に唖然とする。
そんな凛におかまいなしに、海は凛の胸ぐらを掴んで声をはりあげる。
「お前何してんねん!!お前はそんな奴やったんか!?諒は友達やなかったんか!?」
「離してよ!!」
凛は海を振り払った。
海は少し黙っていたが、
「凛・・・お前には失望した。
それに、俺の見ていた凛はあんな奴らに負けるほど、弱い奴やなかったで。」


そう言いながら私に手を出して、いつの間にか座り込んでいた私を助け起こして教室を出た。
「大丈夫か?諒。」
「う・・・うん」
信じられなかった。あんなに仲の良かった凛を、海が叩くなんて。
「ねぇ・・・海。凛に言ってたあんな奴らって?」
「え?あぁ。古城の事や。」
「こ・・・古城?」
「せや。凛は古城に泣きながら『許してほしい』ってつめよったんや。
そしたら、古城のやつ、許したやるかわりに・・・」



海は下を向き言葉につまっている。
「許してやるかわりに?何?海!」
私は、口を開こうとしない海に力強く言う。
海は、いいずらそうに話を続けた。
「・・・お前を、イジメろって。」
体温が一気に急降下していく。


頭の中が真っ白になった。
そんな・・・。
凛が、私を・・・イジメル?
あんなに、仲良しだったのに・・・。
凛が・・・、私を、裏切った・・・?
嘘でしょ?誰か・・・。
誰でもいいから、『嘘だ。』って言ってよー!!!



「凛チャンってバカだよねー!」
いきなり、声がした。
この声は、見なくたって誰かわかる。
「たったあれだけでもうリタイヤ?」
「・・・古城」
古城は、クスクス笑いながら近づいてくる。
「しかも、イジメから抜け出す代わりに『親友をイジメる?』って聞いたら、泣きながらうんうん頷いちゃってさー!しかも、『ありがとう』とかいってたしぃー!」