どうやら俺はとんだ見込み違いをしていたようだ。少女とて、奴は手練れだ。
横たわり絶え絶えな息を吐き血を吐き出す姿を見ても顔色ひとつ変えず少女は冷笑する。

カチャリ。

「手こずらせやがって…。まあいい、自分の業を呪いながら等しく灰に還るが良い!」

最後の止めといわんばかりに、躊躇いもなく頭蓋を狙って弾射。何かが暴発したような様々な破裂音。そこから 俺の記憶はぷっつりと閉ざされた。

鳴り響くは硝煙が立ち込める銃口と崩れ堕ちる物言わぬ骸と化した肢体。
どくどく と朱色が一帯を赤く染め上げて色づけていく。あっと言う間に黒から朱へ視界は変貌を遂げる。
物言わぬ身体に一言吐き捨て、闇はそっと黒と同化して姿を消していく。
まるで初めから存在などなかったかのように。

「…悪く思わないでね。」