『…ユ、ユリア!』

思わず駆け寄り、呼吸の荒い彼女の状態を確かめる。強がっていたものの、やはり負った傷は深いもので血は一向に止まる気配は見られず、怪我からくる高熱も併発しはじめたらしく痛みの全てが少女に襲いかかる。

「はぁ…、はぁ…」

『…ロクに手当てしなかったでしょう?傷から菌が入り込んだみたいだ。ユリア起きれる?しっかりして』

少女を抱き上げてでもして、病院に運びたいところだけれど今の俺にはそれは叶わない。
身体を揺らそうとしても、少女に触れることは出来ない。声を掛け続けるしか術がない。

『ユリア聞こえる?動けるなら病院へ。』

「はぁ…、はぁ…。ほっといて…っ。あたしが…そんなとこ…行ける…わけ…」

途切れ途切れになりつつ、はっきり言いきり何度か立ち上がろうと試みるも身体が思うように動かないといったようだ。
ただ、喘ぐように荒々しい呼吸だけが部屋に響き渡る。

『…このままだと、破傷風を併発してしまう。
君まで命を落としてしまいかねないよ、だから…』

「はぁ…、はぁ…」

とうとう意識が朦朧としてしまったのか、返答すらなくなった。