「山本の気持ち聞けて嬉しい。ありがとう。」
「うん、」
「たしかに俺は教師だし、奥さんも子供もいて、お前の期待には応えられない。山本は本当に期待に応えてくれる生徒だったのに、期待に添えない教師で本当に申し訳ない。」
「いや、そんなこと、、」
「だけど、山本は間違いなく俺の中で1番の生徒だ。」
一気に涙が溢れて止まらなくなる。頬を伝い、制服のスカートに滴り落ちる。
「この俺が言ってるんだから。これからも自信持って。山本なら大丈夫。」
「ありがとうございます」
「じゃあ、元気でな。期待に応えられなくてほんとに申し訳ない。」
先生が頭を下げる。
「先生、頭、頭上げてください、」
「あ、あぁ。でも、本当に申し訳ない。」
「大丈夫です。気持ち伝えられてスッキリしました。でも、、」
「でも?」
「最後のお願い、していいですか?」
「うん。」
「最後に、ハグしてください。」
「おいで。」
先生が腕を広げる。
ゆっくりと先生に近づき、ハグした。
「山本なら大丈夫。」
そう言って私が泣き止むまでずっと背中をさすってくれた。
「先生、ありがとうございました。」
「俺も、本当にありがとう。」
「じゃあ、本当にお別れですね。」
「あぁ。頑張れよ。じゃあな。」
「ありがとうございました。失礼します。」
「じゃあな」
そして、物理室のドアを惜しみながら閉めた。
しかし。
「先生!!!」
再びドアを開ける。
「LINEください!!!!」
「1人で悲しみに浸って泣いてたんだから!失礼しますって言え!!」