松原君の攻略は難しい。

すると、丁度いいタイミングで生徒会の先生が入ってくる。


「えっーと、私が生徒会担当の大島です。よろしく。」


シュッとした感じの女の先生だ。


怒らしたら怖い系の。


「じゃあまず、学校祭について話したいと思います。」


うちの学校の星川祭は毎年結構盛り上がる。


「今までの星川学園の伝統を崩さないように、あなた達が中心に活動してもらいます。」


あー、忙しそうだな。


八木くんは恒例のあくび。


「まず、開会式について。開会式を進めるのはあなた達が中心です。その時に流すムービーの構成はあなた達にやってもらいます。」


わぁ、責任重大。


「どのようなムービーにしたら盛り上がるか、皆さんで考えてください。」


「各学年の思い出を振り返る写真とか?」


「普通過ぎない?」


みんな早速話し合ってる。


副会長だもん。


なんか案ださなきゃ。


あーー、ダメだ。思いつかない。


「副会長さんは?なんかない?」


八木くんが顔を寄せてくる。


うっ…近いし…


「各学級の出し物の宣伝?みたいな?」


生徒会室に沈黙が広がる。


あ、やっちゃった。かな?


なんかもういたたまれない気持ちになる。


「え、めっちゃいい。それ。」


意外にも、同意したのは松原零だった。


「わ、私も賛成です!」


栗栖さんがピッと手を挙げる。


他の人たちも、賛成してくれた。


「ん、じゃ、決定、ってことで?」


松原零がみんなに問いかけると、みんな頷いてくれた。


嬉しい。


私の意見が役に立ったなんて。


「凄いね。今野さん」


と、宮前さんが笑いかけてきた。


「う、うん。ありがと…」


なんかちょっと恥ずかしい…


「あれぇ、副会長さん、照れてる?」


八木くんが顔を覗き込んでくる。


「ちょ、そんなんじゃ…!!」


慌てて顔隠す。


「あ、あと!!私の名前は副会長じゃなくて奈子!今野奈子!!!」


「あ、そうだったね、奈子。」


うっ…なんで名前呼び…


奈子なんて男子から呼ばれないし…


ちょっと気が狂う。


「じゃあ、ムービー作成はそろそろ始める予定だから。」


え、早くない?


学校祭、10月だよ?


あと3ヶ月ぐらいある。


「えぇ!!はやーい!」


橘くんが叫ぶ。


「意外と時間かかるのよ。ムービー作成。」


冷静に先生が喝を入れる。


これから忙しくなるなぁ〜