三月の向日葵




それを認めてしまうのは悔しいけれど、
確かにそうなのかもしれない。


私の頭の中が一気に冴えていき、
なんだか葵に申し訳なく思う。


私は頑固な方だけれど、間違ったことは
ごめんと言えるくらいには常識は弁えているつもりだ。


「ごめん。言い過ぎた」


「いいよ。お前がすっきりしたならな」


「何で私の気持ちが分かったの?」


「さてなんででしょう」


「なにそれ」


「まあ、細かいことは気にすんな」


そう言うと、葵はさっき京子が渡してくれたノートを手に取った。


「なんだこれ」


「授業のノート。京子が置いていったの」


まあ、私は勉強する気はさらさらない。


どうせ死ぬんだから、勉強なんてしても意味がないからね。


ノートを手にした葵は中をパラパラと捲ると、ふーんと眺めた。


「懐かしいな。二年前か」


「ああ、あんた年上だっけ」


「見えないってか?」


全然見えない。というか年上だからって
私が態度変えないからそう見えるのかもしれないけどさ。

同い年に見えてしまう。


葵はノートを広げてある箇所に指を突き立てた。