「…え?」

夏空くんの目がさらに丸くなった。

「葉月さん、まさかこの点数で普通だとか思ってる…?」

「普通、かどうかは分からないけど、そんなにおかしくもないと思うよ?」

質問を質問で返すようになってしまったけれど、私がそう言うと、夏空くんの顔から驚き以外の感情が消えた。

「………………」

「ごめん、私なんか変な事言った?」

「いや…葉月さんが前にいた高校ってどこなの?」

ぽかんとしたままそっと口にされた質問に、私はさらっと答えた。

「紫音高校だよ。」

「そこでも、トップだったの?」

「うん…」

控えめに頷くと、夏空くんは頭を抱えた。

「俺、一応この学年の首席入学だったのに…自信なくした…」

「えっ、夏空くんが首席なんだ?」

「今は葉月さんが首席ってことになるから…てか、なんだっけ?」

軽く首を振って、夏空くんは我を取り戻した。

「あぁ、そうだね。この、学校内順位って何?」

「それは、各学年の平均点とかを考慮して、自分の点数が学校内全体だとどのくらいの位置につけるかっていうのを表してるんだよ。」

少し声が上擦ったまま、夏空くんは指先で私の成績表を押さえた。

「この点数で、この平均点だから、学校全体だとこの順位になる。将来的にどこを目指していくかを考えるのに使うんだ。」

丁寧に説明してくれるのをふんふんと聞いていると、先生の話が始まってしまった。