去年は二年生が王子、三年生が王女を務めていた。

二人ともA組で、常に学年トップだったらしい。

まだ桜夜の学力はハッキリしていないけど、これは楽しみになってきたなぁ…

あたしは小さく笑った。

「桜夜は、王女になれるかもね。まだ分からないけど、この学校の編入試験は難しいって噂だし。」

「あぁ、そうだな。でも、杜若さ、葉月さんと仲良くなるなら、夢見さんから守ってやって。…前みたいなことにはなって欲しくないから。」

悔しそうに顔を歪めて如月くんはそう言った。

つられて思い出したのか、夏空くんがちょっと顔を顰める。

「今はどうしてるんだろ、あいつ…」

あいつ。

夏空くんの言っている子が分かったとき、あたしの頭にはあの惨状が蘇った。

「あんなこと、二度とさせない。」

あたしはハッキリ言いきって、手を握りしめた。

「俺らも、なんかあったら手伝うから。」

「うん。」

頼もしい2人に笑みを返して、あたしは頷いた。

あんなに純粋で綺麗に笑える子を、あの子みたいにはさせない。

あたしは心のなかでそう誓った。