「なぁ、葉月さんって今年の王女候補っぽくね?」

そう言ってきたのはうちのクラスの学級委員で、リーダー的な存在の如月悠弥くん。

「うん、そう思う。あたし、あんなに綺麗に笑う子初めて見たよ。」

桜夜の眩しいくらいキラキラした笑顔。

「でもさ、夢見さんには嫌われそうだと思うよ。あの人、自分が1番じゃないと気が済まないみたいだし。」

隣であっさりそう言いきったのは如月くんの友人の夏空光希くん。

「確かに…」

夢見麗奈は2年B組の女子。

この学校のクラス分けは成績順で、A組が1番上でG組まである。

去年は1年A組だった麗奈がB組に落ちたのは、桜夜が入ってきたことも関係しているのだろう。

毎年少しずつクラスのメンバーは変わるから、それ以外の可能性もあるけれど。

そして、王女というのは、星花学園内の称号の一つ。

明愛祭で行われるレネットコンテストというイベントで、「成績」「容姿」「性格」を中心として、素晴らしいと認められた人に与えられる称号のようなもの。

王女となった女子が、同じようにして選ばれた5人の王子候補の中から一番だと思う人を指名することで決まる。

その2人が正式に認められるのが認定式。