ほっとしたように笑う彼女達。

「私、どのくらいここに…?」

「2、3時間ってところかしら。もう大丈夫?」

「はい、大丈夫です。」

胸の痛みは消えていた。

「ストレスによるフラッシュバック現象だと思うんだけど、何か心当たりはある?」

「…いいえ、特にないです。」

「じゃあ、疲れてるのかもしれないわね。今日は帰って休みなさい。」

私の嘘に気づくことなく、保健室の先生はにこりと笑った。

「誰か家が近い子はいる?」

「え、と…南町の四丁目なんですけど…」

クラスの友達にはいなかったはず。

そう思った時、実里くんがばっと手を挙げた。

「僕、多分近いよ。センパイ、一緒に帰る?」

「…え、良いの?」

「良いよー!」

にこにことした実里くんの勢いに押されて私も笑った。

「じゃあ、帰ろ。」

「うん!」

笑顔の実里くんは私のバックを持って、立ち上がった。

「僕が持っていくよ。センパイは気をつけて歩いてきて。」

「…うん、ありがとう。」

周りの女の子たちのキラキラした視線が痛かったけど、私は実里くんの言葉に甘えてそのまま歩き出した。

「実里くん、もう大丈夫だよ?」