4年生の運動会。

私は彼女に言われた通り、1位の賞状を受け取っていた。

…彼女がいなかったから。

3年生の運動会の後、彼女は転校してしまった。

お別れも何も出来ないうちにいなくなった。

そして。

約束したはずの”ずっと一緒”はあっさりと崩れていった。

ーー桜夜、桜夜…

懐かしい声に呼ばれて顔を上げると、彼女の姿がそこにあった。

もちろん夢だと分かっているのに、幸せだと感じてしまう。

彼女がだんだんとぼやけていく。

待って、待って…

手を前に伸ばすと、幻覚のはずの彼女はにこりと笑った。

ーー大丈夫だよ、桜夜ならなんでも出来るから。だって、うちの大事な大事な親友だもん!

本当に?

心の中で彼女に問い掛ける。

ーー本当だよ。いつだって桜夜は誰よりも頑張ってた。認められなくてもうちはずっと桜夜の頑張りを見てたよ。だから大丈夫。

ふわりと微笑む彼女に、私も笑顔を返した。

ありがとう、またいつか、どこかで会えるかな…?

ーーきっと会えるよ、またね、桜夜…

すうっと彼女が消えていったあと、私の目の前に見慣れた人達がいることに気がついた。

「あれ…?」

「桜夜!良かった、気付いて…」